2011年7月4日月曜日

フランス→スペイン巡礼徒歩旅行69日目


6月30日(木)巡礼69日目 31km
6時起床。朝ごはんがほとんど無かったのでコーヒーとチョコレートのみで出発。
今日はいよいよ海への道。楽しみだ。
歩き始めて1時間でアサがエンストをこく。何か食べたいと駄々をこねるのでカフェへ行く。しかし、ここは完全に巡礼者の足元を見たぼったくりバーならぬ、ぼったくりカフェ。「次のカフェまで20km以上あるからここで食べないともう知らないよ。」と脅してくる。そして料金はいつものカフェの倍近くする・・・・しかし足元を見られるだけの弱みがこちらにはある・・・腹ペコアサを放っておくと途中で行き倒れるか荒れ狂う・・・のでアサに与える餌程度を購入し再度出発。昨日の33kmがこたえているようでアサはややお疲れ・・・しかし最後の数日は自分の力でやり遂げたいようで僕のサポートを拒否。まぁ良いことです。ので今日はゆっくりと歩いていく。
途中、フィステーラとムシアとで別れる道。
出発して8kmほどの町で買出しをし、更に歩く。巡礼者が少ないのが嬉しい。
コンポステーラに到着してから気楽な気持ちで歩いていたのだが、どうやらけっこう厳しい道のようで上り下りがそこはかとなくある・・・しかもそのわりにCAFEの数が少ないためなかなか思うようにCAFE休憩も出来ない・・・久しぶりにフランス側の道を歩いている感じだと思えばよいのだが、スペインの道を歩き、のんびりペースに慣れなまり切った体に久々のアップダウンはこたえます・・・途中のどかな芝生で3度ほど休憩。
本日5つ目の丘の頂上付近で羊の群れを発見。彼らは僕らの姿をみとめると歩行をストップ・・・しかし主人が後ろから怖い顔で追いかけてくる・・・彼らが心の中で「見知らぬアジア人に対する不安」と「手に鞭をもつ主人の恐怖」とを天秤にかけ、揺れ動いているのがわかる。そして・・・勇気を振り絞りシャバダバダ~!!と僕らの横を通り過ぎる。微笑ましいな。と羊たちを見送った後、再び前方を見ると・・・・・・う・う・う・うみだ~!!
歩くこと69日山の中から出発し、山の中を幾度も歩くこと2ヶ月で木々の間からまぶしいほどに青々と輝く海を発見!!よくまぁここまで来たもんだ。と2人感慨深い気持ちになる。
70日前に、巡礼に対する情報もほとんど持たないままフランスのルピュイ・エン・バレイの町に降り立ち、寒い寒いと言いながら毎日早起きをし、言葉もほとんど分からない中を必死に歩き、歩き終わった後は2人とも疲労困ぱい。
しかし歩き終わった後の温かいシャワーで本日の歩行の終了を幸福と共に感じ、少ない予算のため、質素ながらも毎日待ち望みつづけた食事の時間。いろいろあった69日。時に助け合い、時にけんかをし、トイレとシャワー以外の時間を常に一緒に過ごし続けた相棒アサは良く頑張ったもんだ。
今後も数え切れないほどの喜怒哀楽を共にしながら僕らはきっと夫婦としての結びつきを強めていくのだろう。
海までもうひと息。残り7km弱を最後の力を振り絞って歩き始める。そして15時に海岸到着。久々の潮の香り・・・は・・・しない・・・全く・・・潮の香りを吹き飛ばす凶暴風・・・この風はまるでパタゴニア・・・砂浜の風がまい起こり目も開けられない中を必死で歩きアルベルケに到着。
シャワー洗濯の後、どうやらこの町でももえるらしいという巡礼証明書を手に入れるために町へ出ることに。巡礼証明書は・・・まぁまぁ・・・。立派だけどあまりばら撒きすぎると価値がなくなってしまう。その後パン屋でエンパナーダを食べながら海に面した教会と、丘の上の展望台を見学に。
丘の上ではパタゴニアを上回る勢いの風が・・・業務用扇風機の最大パワーの風が顔面に襲い掛かってきます。そして事件が。アサに預かってもらっていた帽子を受け取ろうとした瞬間!!!ビュウ~~~~!!と極悪風がアルゼンチンで900円をはたいて購入した僕の帽子を吹き飛ばしていく・・・・僕の帽子がスローモーションのように綺麗な立て回転で転がっていく・・・しかし神の助けか前方には高さ1mほどの壁が!!ここでストップしてくれるか!!と、ちらりと思ったが・・・いや無理・・・絶対止まらない・・・全く期待をもてないほどの極悪風に予想通り、さながら漫画のように壁を立て回転で転がり、そして飛び越えていく帽子・・・そして呆然とする僕ら・・・・。
「まぁ、飛んでったものはしかたがないね」と笑い飛ばすことが出来るほど大人になっていない僕らの醜い責任の擦り付け合いが始まる「なんでしっかりうけとらへんの!!」「ちゃんといいよっていってから離さないからだろ!!」・・・醜いことこのうえなし・・・
万が一の可能性を考え、念のため壁の裏を見に行くと・・・おぉ・・・奇跡が・・・・壁の裏のけして広いとはいえないスペースに見事に帽子が着地している。九死に一生・・・もしくは「あの人は今」の番組に扱われそうなぐらいの奇跡の再会具合。これほどまでに自分の帽子をいとおしく思ったことはありません。その後買い物をし、迷子になり、地元のおばさんに連行されアルベルケへ。そしてご飯を作り、久々に再会した早口のアメリカ人男の子と話し、(彼の英語はものすごく早く、スラングが混ざっているのでほぼ聞き取れない・・・)オーストリアの団体から作りすぎたらしいニンニクのどぎついパスタをもらい、自分らですでに作っていた市販の冷凍チャーハンに卵とトマト、ニンニクの炒め物を載せたものと一緒にモリモリ食べる。クリスティーナとダニーにワインをお裾分けしてみんなで明日のフィステーラの前祝いとして飲む。
21時半に食べ終え、日記を書いていると、オーストリアのおじさんが写真をとりたいとりたいと言ってくる。最後まで希少動物である日本人の人気は高いようです。
22時半に就寝。
hoso

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