2011年7月4日月曜日

フランス→スペイン巡礼徒歩旅行70日目(世界の果てに到達)


7月1日(金)巡礼70日目 28km
今日、ついにFisterraに着いてしまう。朝7時に出発。今日が本当に最後の巡礼になるだろう。最後の早起きかもしれない。少し寂しいと思いながら朝日が上がり始めたまだ薄暗い道を歩く。空気が澄んで海が朝日に照らされてキラキラしている。
20分ほど歩いたところでさっそく道を間違える。坂を下ってきたおばさんに道を聞いた道を5分ほど歩く。でも道路沿いだしなんだか巡礼道じゃない感じがして道路の端でキョロキョロしていると、一台の車が止まってくれて「この道は巡礼道じゃないよ。この先を右に曲がってまっすぐいけば巡礼道につながるよ。」と教えてくれた。また戻らないといけないと思うと気が重かったから助かったー。
順調に歩き続ける。松とユーカリの林がたくさんあって巡礼道沿いには大きなまつぼっくりがごろごろと落ちている。林の中の巡礼道を歩いていると時々、海風が丘を登ってくる。木々の間を通り、松、ユーカリ、シダ等の香りをミックスしたすっきりとしているけど少し甘い香りを運んできてくれる。癒しの香りである。こんな香水が欲しいなーと思う。この香りを満喫しながら海が見える場所に座ってパン、トマト、ゆで卵で昼食をとる。人もいないし景色は最高だし、レストランよりも贅沢な昼食。これも最後かもしれないと思うとより貴重な昼食に感じた。
「世界の果て」といわれるフィステーラまで28kmと聞いていたのに、思ったより遠く感じた。たぶん暑かったのと上り下りが多かったからだろう。それに2日連続30km以上歩いた疲れが取れていないみたいで足が痛くて歩けなくなり14時ごろに15分ほどもう一度休憩をとる。いつもどおりだけど、靴と靴下を脱ぐと足が痺れている。この痛みももう最後だな・・・などと考えながら痛みに耐える。とにかく前に進まなければと思い再び歩くこと1時間。お店の看板に「Fisterra」の文字が!!!嬉しくて足の痛みが軽くなった。こういう時、いつも思うけど人が感じる肉体的痛みってどこまでが本当なのかな・・と思う。だって、歩けないほど痛かったのにFisterraの文字をみた途端、痛みはあるにせよ歩けるようになるのだから。
町の入り口を表す道路標識が見えてきた。もちろん記念撮影。なんだか信じられない気持ちだ。フランスから1日も休憩をとらずに歩き続けて70日。Fistteraに到着するのは夢のように感じていた。毎日毎日、歩くことに精一杯で終着点の事を現実的に考える余裕なんてなかったのだろう。ビーチが見えてきた。家族連れのスペイン人達が楽しそうに海水浴をしているなか巡礼者達もいる。きっと巡礼者達は「巡礼者がFisterraに到着したら行う3つの事」のひとつ、「世界の果ての海に潜ること」を実践しているようだ。
海を左に見ながら町の中へ。観光地化しすぎていなくて丁度いい感じの町。Perigurino de Alberqueにチェックイン。昨日のアルベルケに比べるとちょっと・・・という感じだけど、まあ5ユーロなので仕方ない。眠るには十分だしアジアの宿に比べると全然きれいだ。
宿でハンナとレイチェルにあう。昨日、到着したらしい。今夜は海辺で寝るらしい。海辺で野宿している巡礼者達がたくさんいることは前から聞いていた。中には数ヶ月いる強者もいて小さなヒッピー村のようになっているらしい。まだまだ私は野宿をする気にはなれない。ちゃんとシャワーを浴びたいし、海岸の砂まみれのままいるのが嫌なのだ。サトは野宿してみたいようだけど断固拒否させていただいた。
シャワーを浴びて、洗濯をしていると先にFisterraに到着して違うアルベルケにとまっているエビリンが訪ねてきてくれた。わざわざ訪ねにきてくれるなんて嬉しいことである。ちょうどリノやジェニー達も巡礼者の3つの行事のひとつの海に入る事を実践しに行くところで一緒に行こうと誘ってくれたのでエビリンとクリスティーナも誘って海へ向かう。
みんなで「わー」とテンション高く海に入りに行く。
!!!!!!☆□△×*○・・・・・冷たい!!!!凍りそうなほど冷たい!!!!
みんな一瞬たじろぐがこういう時、外人は強い。カナダ人のリノ、アメリカ人のジェニーとオーストリア人のエビリンはがんがん入っていく。エビリンに至っては「心臓が止まりそう」といいながらもスイスイ泳いでいる。サトもアジア人として行かなければ!!と震えながらザバザバ入っていく。他の人達もちゃんと巡礼者の行事をこなしていく。その中、私とクリスティーナだけが足からそれ以上は入れなくて止まっていた。私は「足まではいったからもうええわ」と岸へあがろうとするとクリスティーナが意を決して頭まで潜った。残りは私だけ・・・それでも冷たすぎて足が痛くなってきたから岸へ向かうと岸にいたジェニー達が「あさ!!!何やってるの!真のペリグリノになるには潜らないとだめよ!!!」といって岸に上がらせてくれない。「ひぃぃぃーーーー」と悲鳴をあげながら再び海へ戻る。心を決めてザブンと頭まで潜った。潜ってみたら気持ちがいい。頭までスーッとする。長くは入れなかったからすぐにあがったけど、またみんなに励まされて諦めずにひとつ成し遂げれた。歳を取るごとに「諦める」ということに慣れてきていた。巡礼を始めてから何かを諦めようとするたびに周りのみんなが応援してくれる。「諦める」ということをこれからは簡単にしないようにしたい。潜り終わって岸に上がるとみんながハグしてくれた。本当に良い人達と友達になれたなと思う。
海に入った後はみんなで海辺のレストランへ夕食を食べに行く。たぶんみんなで食べる最後のぺリグリーノ・メニュー。海辺のレストランだけあって海鮮パエリヤやムール貝、イカ、魚のメニューがある。私は海鮮スープと海鮮パエリア。サトはムール貝と白身魚の蒸したもの。なかなか美味しい。みんな美味しいといって食べていたけど、唯一スペイン人のクリスティーナーに「パエリアの味はどう?本当のパエリアってこんなの?」って聞くと「うー・・・ん。アサが美味しいと思うなら美味しいんだと思うよ。」という返事。「それってあんまり美味しくないってことやん!」っていったら笑ってた。本当に美味しいパエリアってどんなんだろう。
夕食後、エビリンとクリスティーナと海へ夕日を見に行く。日が沈むのが22時半ごろ。ビーチに到着した時には日がだいぶ落ちてきていた。今日は雲がなくて夕日をみるには最高の日。ゆっくりと夕日が海に沈んでいく。エビリンが「夕日が海に溶けちゃったね。」といった。今日の夕日そ表現するにはぴったりの言葉だ。夕日を見た後、巡礼者の行事2つ目を実行する。昔の巡礼者はFisterraで巡礼中に使っていたものを全て焼いた。エビリンは紐のブレスレットを。クリスティーナはバンダナを。私は巡礼中に泊まったSanAntonの宿で預かったほかの巡礼者が願い事を書いた紙を焼いた。クリスティーナの知り合いのイタリア人の男性3人も加わって7人で燃える様子を眺めていた。その間、みんな多くは語らないけど、それぞれの巡礼に満足している事が表情から感じ取れた。
燃やし終わる頃には辺りはまっくらになっていた。時間も夜12時になっていたから宿に戻ることにする。
今日は興奮気味の一日だった。みんな疲れているはずなのに、Fisterraという土地がみんなに更なるパワーを与えた。興奮気味のままベッドに入る。世界の果てで眠るはじめての夜。あっという間に眠りに落ちた。
Asa

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