7月2日(土)巡礼71日目 0km
ダニーを見送るため6時半起床。でもまだ出発しないそうなのでサトは一人で新しい始まりの朝日を見に行く。アルベルケの前のカフェでにダニーが朝食を取るというのでうちらも荷物をまとめて一緒に最後の朝ごはん。相変わらず早いスペイン語だけどわからない単語をひとつひとつ丁寧に教えてくれる。いつかダニーが書いた本が書店に並ぶ日がきたら良いなと思う。クリスティーナも見送りにきた。2人には本当にお世話になった。うちらのスペイン語習得のためにわかりやすいスペイン語でいつも話してくれる。どうしてもわからないときには英語で説明してくれる。巡礼中はスペイン人よりその他の国の人の方が多いからスペイン語よりも英語を話す機会のほうが断然おおかった。その中、スペイン語を話したいうちらにとっては彼らと過ごせた時間はとても貴重だった。ダニーはいろんなことを知っていていつもそれを教えてくれた。クリスティーナは25歳とは思えないほど大人で頭の回転が速くはじけるような笑顔を持っている。大好きなふたりだった。9時にダニーが今まで歩いた行程を戻って歩く巡礼に出発。みんなでハグする。ダニーの目にも少し涙が光っていた。ダニーの新しい巡礼がまた始まった。一人一人減っていく。巡礼が始まった時うちらは2人きりだった。それが巡礼をするうちに大勢の仲間が増えていった。そして巡礼を終えようとする今再び少しずつ仲間がへっていっている。巡礼を始める前の状態に戻るだけなんだけど、すごくさみしい。13時にはクリスティーナがバスでア・コルーニャへ向かった。彼女はそこでバスを乗り換えて彼が待つサン・セバスチャンへ行くらしい。みんなそれぞれに散っていく。クリスティーナを見送りにきたバス停でハンナにあう。15時半からハンナと一緒に灯台があるFaro Finasterraへ。町から片道3.5km。往復7kmだけど巡礼者にとっては荷物なしで歩く7kmなんて大したこと無い距離である。以前は7km歩くなんて考えられないと多くの巡礼者が思っていたのに今となっては15kmさえも巡礼者の間では「短い距離」と言い合うようになっていておもしろいなと思う。
Faroからみる海は丸い。地球が丸いということを知らずに、ここが世界の果てだと言われたら単純な思考回路をもつ私はなんの疑いもなく信じる。
灯台の横の海が見える場所で1時間半ほど座って海を見ながら話す。巡礼の事、これからの事、アメリカの事日本の事。たいていのアメリカ人は話すのが早すぎて私は聞き取れない。ハンナはアメリカ人だけどゆっくりと話すし、私のめちゃくちゃな英語も聞き取って理解してくれる。彼女もまだ24歳くらいだと思うのにしっかりといろんな事を考えているし知識もある。そしてすごく優しい心をもっている。巡礼中に彼女と過ごせた時間も私にとっては貴重な時間だ。
7時に宿に戻って宿が寄付制で用意してくれる夕飯に参加する。巡礼者が集まってみんなで輪になって食べる。同じ宿に韓国人のキムやポール達もきたからみんなで一緒に参加する。女の子達はサンティアゴからそれぞれ違う国の旅にでたらしい。ここであえなくて残念だけど韓国でまたあえるはず。食べる前に自己紹介を兼ねてみんなそれぞれ巡礼の観想を英語で話す。みんな必ず同じ言葉を言っていた「Thank you」。神にではなくて、出会った人達に向けて、お礼を言っていた。
夕飯後、海へ私の靴やサトのパンツ、靴下を燃やしに行く。
今日はエビリン、ハンナ、レイチェル、リノ、リノの友人とうちらで燃やす。燃やすために木を集めてきて火を点けた。今日は風がきついこともあって勢い良く火が点いた。
人生ではじめて買ったランニングシューズ。日本で家の周りをランニングするために購入したのに外国まで連れてこられたランニングシューズ。トレッキング用ではないのによく70日間毎日頑張ってくれた。靴底がつるつるになってヒビが入ってきていたし、中敷は足の裏のあとがくっきりとついてすっかり薄っぺらになっていた。ちゃんと燃えきるか心配だったけど、化繊でできているせいか20分後には跡形もなくなった。他の靴下やパンツも、ハンナやレイチェルのティーシャツもきれいに灰になった。燃えきって火が消えるまで眺めていた。火が消えても灰になってもまだ赤く輝いている。風が吹くたびにキラキラとしてきれいだ。灰のひとつが魚の形になって白くなった。海の底を見ているようだねといいながらとうぶんの間、眺めていた。
ハンナとレイチェルは今日も海で寝る。
うちらはアルベルケへ戻る。明日もきっとあうから「See you tomorrow」でいいよねといって別れる。
これで巡礼者の行事3つとも終了した。
巡礼者の3つの行事とは
1.サンティアゴからfisterraへ歩く時自分の影を見る事。
2.海に頭まで入る事
3.巡礼中の荷物を燃やす事
これで真の巡礼者になれたかな。
Asa
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