5月19日(木) 巡礼27日目
今朝は距離も短いのでのんびり寝ようと思っていたら6時15分にアサに起こされる。
渋々朝ごはんを食べに食堂へ行くと、僕ら以外の人々は皆ほぼ食べ終わっている。どうやら18kmという近距離移動は僕らのみで他の強者達は30km先の町まで行くようである。まぁ先は長いので自分達のペースでぼちぼちと進んでいこう。
一人のマダムの朝ごはんのパンにまったく手をつけずに出発。そのパンをアサがギラギラとした目で狙っていた・・・いや、いかんでしょそれは・・・人間として・・・でも、もったいないと思うのは同感である。しかしさすがにアサも人間としての理性が残っていたようで人様のものにまでは手を出さなかった。
食後パンの買出しに行き、その後午前8時に出発。
出発前に宿のオーナーさんがバックパックの調整をしてくれた。長年(8年)使っているのにも関わらず、背負い方を間違えていたようで、「もっと腰だけで持つように」とアドバイスされる。
アサは出発前に合羽を頂いていた。昨日「この町に合羽を売っているところはありますか?」と聞いたのを覚えていてくれたようである。なにからなにまで本当にありがとうございます。
今回の宿のご夫婦は巡礼者達の「旅のルート相談」「健康相談」「靴やバックパックなど装備の相談」を親身になって聞いてくれ、しかも聞くだけではなくカイロプラクティックや様々な道具のメンテナンスを実際に行ってくれるなど本当にホスピタリティーにあふれた素敵な夫婦でした。
今まで、寄付制のジットなどで「お金は払える分でかまいません」という形のジットを運営している人達に対してもすごいなと思ったのですが、日本という資本主義の国で育ったためか、はたまた特定の宗教を持たない人生を過ごしてきたためか、「お金は払いたくなければ払わなくても良い」と言われても、「それじゃぁお言葉に甘えて・・・」ということはなかなか出来ず、せいぜい「少しすくなめに・・・」くらいにしかできない。そして少なく払ったときにはそれはそれで感謝というよりちょっとした罪悪感を感じてしまっている気がする。(それならいっぱい払えっていう話なのですが・・・・)
今回のように宿代は払いつつも無料で行為(カイロプラクティックや相談など)を提供してくれる方が「ありがとう」という感謝の気持ちが自然と湧いてくる気がしました。
こう書くと何となく寄付制のジットを批判しているように思われるかもしれませんが、けしてそんなことはなく、99%は感謝してるけど1%程度、自分の中でもやもやとしてストンと収まらない気持ちが存在している・・・ということです。
出発後、昨日の疲れからアサはお疲れのようでなかなかペースが上がらない。しかし天気は絶好の曇天、距離も短いためのんびり歩く。昨日のカイロプラクティックが聞いたのか背中の痛みも今日はほとんど無い。素敵な日です。
今日は2日前のジットから抜きつ抜かれつしている合唱隊(オーストリア12人組)にも完全に置いていかれる・・・おばあちゃん達も簡単に僕らを追い越していきます。
しかし慌てず騒がずジワジワと進む。
本日は特にダイナミックな景色も無くやや歩かされている感じがするのが残念。アサと「引退した後のジャニーズの人達はどうしているのか?」という生産性の無い話をしながら歩き、11時過ぎに早めの昼ごはん。今朝購入したパン達はなかなか優秀。皮は薄いながらもカリッと焼きあがっており、中はしっとりモチモチ。小麦も良いものを使っているようで力強い風味が食感とあっています。これにバターをつけてペロリと喰っちまいます。
昼ごはんを食べ終わった時点で残りすでに5km。
1時前に目的の町に到着してしまい若干焦る・・・早すぎた・・・昼ごはん休憩のジョンマリーと出会い、本日この町に宿泊のことを告げると「何やってんだ」と笑われる。
本日の宿は1時からチェックインさせてくれたためシャワー、洗濯を終わらせのんびり過ごす。アサは昼寝。その後ガブリエル達、ニコールなどなど顔見知りの鈍速巡礼者が続々やって来る。ほっとする顔ぶれです(遅いのは僕らだけじゃないんだ)
宿の人にキッチンを使っていいかと聞くと「ご飯は私が作るわよ」といってくれる。どうやら宿代の12ユーロはちゃんと頂きますが食事代は寄附制とのこと。こんなziteのシステムは初めてだ。それならとお言葉に甘えて食事に参加させてもらうことにする。
夕飯は19時半からなので時間を持て余す。
村をみてまわるが10分あれば全て見れる村なので見所は教会ぐらいしかない。パン屋も17時からしかあいていないし、商店みたいなものもない。でも小さい町だけど休憩できるようにいたるところに芝生がひいてあってベンチもおいてある。雰囲気のいい村だ。天気がよかったらピレネー山脈が見渡せるらしい。残念ながら今日は雲っていて何もみえなかった。
雨が降ってきたから宿に戻るとガブリエル達が夕飯の準備を手伝っている。うちらも混ざる。ふにゃふにゃで芽が出てしまっているジャガイモの皮をむいたり野菜を切ったり。
巡礼に出てから日本では確実に捨てられているような痛んだ野菜や果物を当たり前のように使っている姿をよく見かける。これが食べてみると全く問題ない。日本ではなぜ少し色が変わったりしているぐらいで平気で捨ててしまうのだろう。ある種の潔癖さ(生真面目さ)は日本人の長所でもあるが、それも病的なほどにやりすぎてしまうのは問題であると思う。
ただでさえ食料自給率が全く100%に届いていない(50%ぐらい?)のに、コンビニ弁当など毎日じゃんじゃん捨られてしまっている。・・・一説によると今日本で生産している野菜や穀物だけでもみんなが食べる量を80%程度にして(腹8文目)食べ物を捨てなければ十分に自給率100%になるそうである。今、無駄にしているものをもう一度見直していけば、日本も食料輸入にかける経費削減が出来るし、食糧難の国にその分の食べ物を回すことだって出来る。そういう形での国際協力の仕方もあるのではないのだろうか?(まぁお金を使っていかないと経済が回っていかないと言う考えの人達は大反対するのでしょうが)
サトは途中で料理を抜ける。マダムが黄色のドロっとした液体を出してきたから「これ、何?」ってきくと「ダックの油」という。これでジャガイモをフライドポテトにする。ダックの油はコレステロール値が低いらしい。米が茹でてあったから(こっちの人は炊かずに茹でるようにして米を調理する)お米が食べられるとおもったらなんとザルにいれて水でザバザバ洗い出した。そしてドレッシングとトマトを入れてライスサラダになった。こっちのお米だったらこのほうが美味しいかもしれない。フランス語の勉強と思ってマダム達の輪にはいって料理を手伝う。みんな色々と教えてくれる。けっこう楽しい。日本についても興味をもってくれたようで食事の時の飲み物について聞かれる。「何でも飲むよ。お茶、ビール、ワイン、ジュース、水。」と答えると「コニャックは?」と聞かれる。「飲む人は飲むよ。」というと日本でもコニャックがあることに驚かれる(笑)そして飲み物の話題のときはほとんどの人が「SAKE飲むんでしょー!!!」と知っていることを自慢するかのように言う。SAKEの世界における知名度はすごい。日本のことをほとんどしらない人でもSAKEを知っている人は多い。飲んだことある人は少ないけど・・・
19時半から夕食。フランス人、オーストリア人、カナダ人、ニュージーランド人、オーストラリア人、日本人。フランス語と英語がごちゃごちゃになった夕食。こっちをむけばフランス語で話し、あっちを向けば英語で話すといった具合だ。ここはフランスだからできるだけフランス人とはフランス語で話すようにしている。めちゃくちゃなフランス語だけど必死にフランス語で話そうとしている姿勢が伝わったのかみんな一生懸命に聞いてくれる。そして教えてくれる。食事はめちゃくちゃ美味しかった!メインのダックの煮込みは絶品でみんな「う~ん!セ・ボン(おいしい)」といってペロリと食べていた。フランス語の楽しい時間を過ごせたし、すごくいい夕食時間だった。
サトの向かいに座った夫婦はオーストリア人とアメリカ人のご夫婦。二人ともスキーが大好きでオーストリアの雪山に住んでいるらしい。家をでたところからスキーができるというからびっくり。娘と息子はスキーのプロとして頑張っているらしい。そして娘はBurtonに勤めているとのこと。いろんな人がいるなぁ。
夜21時半にはみんな寝てしまった。ひとりキッチンで鶴を折る。明日以降、また会えるかわからないガブリエル達とニコールに渡したい。鶴を折りながら「自分はいま周囲や誰かに惑わされる事なく、自分のやりたいことをできている。社会的責任も持たず時間の制限も無く行きたい所へ自由に行き楽しむことだけをしている。なんて幸せな事なんだろう。」と思う。
asa時々hoso
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