5月26日(木) 巡礼34日目 28km
いよいよフランス最終日です。本日も5時20分に起床。
朝ごはんを食べ、朝早くから開いているパン屋で焼きたてのバゲットを3本購入し出発。
最終日はピレネー山脈の峠越えです。ひたすら山道を上っていきます。アサの体調も何とか現状維持であるため本日も頑張るアサ。「今日は2人分のバックパックを担いで峠を越えないといけないかな・・・」と思っていただけにアサの頑張りが頼もしい限りです。
本日の天候は曇り、これは僕らにとって強い味方です。出来るだけ長くこの天気が続いて欲しい。景色よりもまずは歩ききることが優先になっています。たぶん今は余裕が無い時期なのでしょう。
それにしても朝からの上りはなかなかキツイ・・・始めの1時間半ほどで500mほど高度が上がるためずっと上りっぱなし。でもやっぱり上れば上るほど景色が綺麗になってくる。曇り空が残念なところだが、薄白く霧がかかっているのが幻想的で良い。小雨が降っているのが逆に心地よく感じるのだから今日も気温は高いようである。
今日からは「巡礼者が急激に増えるよ~」と言われていた通り今までの5倍以上の人が歩いている。そして国籍も多様になりブラジル、南アフリカなどなど。だから相手によって英語、スペイン語、ポルトガル語、フランス語を使い分ける。しかし頭が混乱して言葉がとっさに出てこない・・・結局ちゃんと会話らしくなるのは英語とスペイン語だけである。ポルトガル語に続きフランス語もものにならず・・・完敗です・・・発音の壁は思った以上に高いです・・・
話は変わりますが、今、日記を書いていて巡礼の日を重ねれば重ねるほど、普段歩いている際の様子(風景や建物について)をどんどん書かなくなっていることに気がつきました。その理由の一つは出発した地点から始めの数日がダイナミックな変化に溢れていたことにあるのだろうけど、もう一つの大きな理由というか原因は南仏の景色に僕らが慣れてきてしまっていることなのだと思う。
人間どうしても物事に慣れてしまうと感情の起伏にとぼしくなってしまうようなので注意が必要ですね。(いくら美味しいステーキでも毎日食べたら飽きますしね。)
ダラダラとした刺激を断絶することでまっさらな感覚に戻ろうと、古来から人々は座禅、瞑想、YOGAなどなどに取り組むのかもしれません。まぁ、まっさらな気持ちを持ち続けることはできないけど、それを忘れない努力をすることも必要なのかもしれません。ちょっとニュアンスが違うけど「初心忘るるべからず」は簡単そうでとても難しいそして大切なことを思い出させてくれる言葉だと思います。
それはさておき歩いていると2日前にみかけたロバと一緒に巡礼している人に再会する。本日はロバがめっちゃやる気で頑張っているようでご主人さんもご機嫌。1人と1頭が仲良くゴールできることを願っています。
さらに山道を上ること3時間。山頂付近になりいちだんと霧が濃くなってきました。(この時点で昨日購入した合羽をアサが装着・・・そしてクオリティの高さに狂喜乱舞する。)昨年も濃霧のために道に迷い巡礼中に命を失った人がいるらしく、霧が出たら山に上らず、ショートカットコースを歩きなさいと言われていたのですが途中から出てきた場合にはどうしいたら・・・とりあえずコース上のマークを見落とさないように目を凝らして歩くものの10m先は全然見えない・・・・そしてそんな霧の中から「メェェェ・・・・」と突然ヤギの声が・・・「なんだ、なんだ?どうした、どうした?」とアサと声の主を探すと前方にヤギの群れを発見。どうやら道を横断中に巡礼者がやってきたため、恐怖心から1頭のヤギが道の反対側に取り残されてしまっているらしい。
困ってオロオロするヤギを見かねて首に鈴をつけた(つけられた?)リーダー的存在のヤギが巡礼者をものともせず果敢に道の近くへとやって来てオロオロする平民系ヤギに向かって「メヘエエエエエ~~!!(大丈夫だから早く渡ってこぉ~い!!)」と叱咤激励している。それでも不安な平民系は「メェェェェ・・・(頭さ分かってるんでけんども体さ動かねぇだぁ・・・)」と右往左往・・・。するとリーダー的存在がさらに道に近づき「メヘヘヘヘェェェ!!(俺を信じてとびこんでこ~い!!)」と励ます。すると・・・奇跡が・・・「平民が・・・歩いた・・・」さきほどまでしり込みしていた平民がリーダー的存在の呼びかけに応え群れの方へ勇敢に歩き出しました。この光景をみたアサが「リーダー的存在カッコイイ!!」と惚れてしまったようで、「このこと日記で書いといて!!」とのことなのでとりあえず。(最近体調不良を理由にパソコン触ると疲れるから・・・と断固パソコン拒否中。)
その後山頂まではリーダー的存在を讃え続けるアサ。鼻歌で「白やぎさんから~フフフッフ~・・・」と歌い始める始末・・・まぁ楽しいならそれで良いのですが。しかしそんなのん気な時間も山頂まで・・・そこからの一気の下り坂はきつかった・・・のぼりで酷使した足がプルプルと小刻みに震えます。それでも体調不良のアサを気遣い「荷持つ持とうか?」と声をかけると・・・最近「頑張り屋路線」に方向転換中のアサは「大丈夫、自分で持てるから!!」と大阪の両親が喜びそうなほどの成長ぶり。「大阪のお父さんお母さん最近アサのわがままが減ってきてますよ~!!(喜)」と思わず褒め称えたくなってきます。
下り始めて1時間ほどの午後1時前にフランス・スペイン国境に到達!!34日かけての巡礼フランス編これにて終了です。嬉しいような寂しいような・・・でもやっぱり国境を越えるときは嬉しい。2人でテンション上がって「エスパ~ニャ~!!たいよ~と、ゆ~めを、も~とめ~て~!!」とパルケエスパーニャのイメージソングを熱唱する。
そんなこんなで無事に2時前に本日の宿泊ジットに到着。
スペイン側のジット(名前がアルベルケに変わりました)に着いて・・・「すっげぇ~・・」と脱帽・・・規模が違う。今まで20人お客がいれば大規模だったのにここは200人ぐらいが宿泊できます。今日も100人以上・・・・設備も綺麗でエレベーターまである。
2人若干興奮しながらもいつものシャワー、洗濯、コーヒー休憩を終わらせる。
夜ご飯はスープとパスタ。若干安物のスープのため化学調味料の味が強くいまいち・・・。
ご飯の後は巡礼者のためのミサがあるそうなので参加してみることに。
荘厳な雰囲気の中、オルガンの音がミサの始まりを奏でます。
そのオルガンとともに4人の司祭登場。けっこう熟成された感じの司祭さんたちですおそらく平均年齢70歳近く。その司祭さんがオルガンの音にあわせて合唱を・・・はじめた・・・はじめてしまった・・・。
キリスト教の信者さんには普通の光景だったようですが、僕は幼稚園のお遊戯会を見守る時の保護者のようにハラハラドキドキしながら「大丈夫だ~!!頑張れよ~!!」と応援する気持ちになっていました。まぁ歌自体はええ声の人もいましたが「自分は自分人は人」という感じで自由にやっているため収拾つかずでした。
今回の講和はスペイン語のため理解できる部分もけっこうあったのですが・・・いかんせん眠い・・・早く終わらないかな・・と罰当たりなことを考えていたら・・・終わりました。(神様ありがとう)最後に聖杯と聖なるせんべいの儀式を以前もどこかの教会で見た形で「はっはぁ~ありがたや~!!」と行っていた。いまだにせんべいに向かってみんなが拝んでいる姿を見ると半ニヤケになってしまう。今日は1番偉い司祭さんがセンターで聖なるせんべいを食べている後ろでまさかの出来事が・・・後ろの方で厳かに聖なるせんべいを食べていた司祭さんが、聖なるせんべいが喉に引っ掛かったのか聖水(ワイン)をお代わり。聖なるせんべいを無理やり流し込んでいました・・・・もしかしたら2杯飲むのが普通だったのかもしれないけど、他の人達は1杯ずつしか飲んでなかったし・・・いまだに謎の多い儀式です。最後の最後に今回巡礼に出発する人がいる国を読み上げていました。(僕らが参加するため日本も呼ばれていました)だいたい20カ国ぐらいから参加者が着ている模様。司祭さんの一人がそれぞれの国の言葉で「巡礼の幸運を祈ります」と暗唱していたのにビックリ。日本語でも「こほうんぉお~ひのりま~す!!」と軽い感じの発音で祈ってくれた。でも自分の国の言葉で祈ってくれるという気遣いが嬉しい。
ミサの後アサは寝る。僕は久々のネット環境のため、最低限すべきことをして22時就寝。
☆そうそう一応今後巡礼コースを歩くかもしれない人に情報を。今回フランス側のルピュイ~スペイン国境まで33・5日。かかった費用は節約をして(お菓子は毎日買う、外食しない、宿は安いところ、お酒はほぼ飲まない)1090ユーロほどでした。日本円にすると12万ちょっとくらいですかね。これで2人分なのでひとり6~7万程度で33・5日南仏歩けます。たぶんボチボチ贅沢する人はこの倍、毎日テントならこの半分弱ぐらいです。以上プチ情報でした。
hoso
0 件のコメント:
コメントを投稿