2012年7月14日土曜日

寝袋→素敵な景色が血を沸き上がらせる→やはりドロミテは素晴らしい場所だ→殿様商売→スポンサーをお願いするなら→睫毛凍る→石橋叩いて渡らない性格→教育→ピザ&ティラミス




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本日の走行距離31km 計1792km

昨日はIPotの充電が切れますよの警告音が0時半に鳴ったため、アラームと勘違いして無意味にその時間に起きる。
外が暗いため時間を確認して再び就寝。山の中のためかかなり冷える。
僕らが使ってい寝袋は9年前のアジア1年旅行で使っていたもの。それを友達のくるりん夫婦に一旦譲り、彼らがそれを使用してしばし世界を周り、そして再び僕らの元に戻ってきて2年3ヶ月使用している。
そう、とっくに寿命切れのため保温能力が非常に下がっているのだ。夏場中心なら問題無いが、この寝袋君では寒い冬は越せないであろう。やはり何とかして冬はを避けたいな。

5時過ぎに起床し、急いで荷造りをする。
外は非常に冷えるが天気はいいようだ。

本日は出だしから峠攻め。
疲れも抜けきらない体でよたよたと坂道を上っていく。
アサが今日の道のりは峠まで7kmだという情報を仕入れてきたため、それを信じて走っていたのだが、実際は9kmだったことに看板を見て気がつく・・・

7kmのつもりで走っていて9kmと距離が増えると精神的に辛いが、車の通りも少なく、日光も当たらないため、ゆっくりペースであれば進んでいけそうだ。

途中休憩しながら300mほど上ると、岩山がドドン!!と現れてきた。これはスケールがでかい。しかし、「岩山よりもキャンプ場!!」とせっせと上る。

ドロミテでは常に岩山を見ているためか目が慣れてしまっており感動が薄れている。
その後、頂上まで残り5km地点ぐらいから緩やかに下り始める。
これは予想していなかっただけに嬉しい。一気に2km以上進む、そしてこの間の景色が絶景であった。
自動車のCMなんかで取り上げられそうな綺麗さであった。

この時は気がついていなかったが、「ドロミテって言っても岩だけでしょ・・・」と少し擦れかかっていた僕の気持ちをこの景色が熱くたぎらせてくれていたようで、気が付けば「見晴らしいのいい場所まで早く行きたい!!」と必死で自転車をこぎ、少し移動しては写真をパシャパシャと撮っている自分がいた。そう、僕はこの景色に魅了されていたのだ。

そして8時頃Gardena峠のてっぺん2121mに到着。ここの景色も良い。
せっかくの景色なのでたまにはゆっくりと景色を楽しみながらカフェをすることに。山頂からはものすごい量の雲海が見え、とても綺麗。

優雅に美味しいカフェを飲みながら、と思ったのだがここのカプチーノはまずかった・・・おそらく出がらしで作っているのだろう。
こんなことなら自分たちでNescafeを入れて飲んだほうが美味しかった。
そう言えば、世界中を周るチャリダーの人たちの中にはスポンサーをつけて旅している人が多いのだが(MonbellPatagonia、自転車メーカー等)僕らは束縛されるのが嫌なので特に依頼はしないことにしている。
だが、Nescafeさんにだったらなってもらってもいいな。世界中から美味しくコーヒーを飲んでいる様子を送りますがいかがでしょうか?

それしにても、山頂の雰囲気のあるホテルで接客を丁寧にしなくても観光客が毎日来る場所だからか殿様商売で愛想無し。
トレッキングに来ているお客さんが「水を組ませて欲しい」とお願いしてもほとんど無視。
世の人々は大きなホテル、大きな会社、大きなトラックの中で保護されていると、さも自分まで大きくなったように勘違いする傾向にあるのだが、自分はそうならないように気をつけたいものだ。

コーヒーを飲み終わって、さて下り始めようか、という頃に突然、麓の雲海から雲がモクモクと昇ってきて、その雲にあっという間に包まれる。

早起きして走ってきたから素敵な景色を見ることができたが、あと30分遅れて到着していたら白い景色しか見ることができなかっただろうな。

それにしてもツアーでせっかく来ている人たちが、天気のために綺麗な景色を全く見ることができないのは他人事ながら非常に心苦しく感じる。僕らなんかは1日か2日待つこともできるが、日本から時間の制約のある中せっかく来ている人たちには是非素敵な景色を少しでも味わって帰って欲しいものだ。

真っ白の中の下りなので、慎重に40km以下の速度で下っていたのだが、寒すぎて睫毛が凍っていた・・・下界は33度ほどあるというのに僕らは一体どこに迷い込んだのだろう。
ひたすら下り、SternInfoで情報集め兼休憩。次のキャンプ場まで残り4kmほどで200mほど上るよう。
まだ時刻は9時過ぎなので慌てることもないしのんびり買出ししながら向かおうと思ったのだがスーパーを見逃すという痛恨のミス・・・明日のおやつが買い足せなかった・・・。

過ぎてしまったものは仕方がないので、さらに進んでキャンプ場到着。まだ10時。
こんな早くにたどり着くならもっと走ればよいのだろうが、ここらで一度休養日を入れておきたかったのでちょうど良い。

そうそう休養日で思い出したが、僕ら、というか僕は性格上、非常に堅実というか石橋を叩いて渡るタイプ(時にそれでも渡らない)なのでどうしても限界スレスレの冒険をせず、
(自分の体力の余裕分)-(アサの体力の不足分)>0
になるように細心の注意を払いすぎてしまっている。
そのためかアドベンチャー性に欠ける旅になってしまっている気がするのも否めない・・・
もちろん、限界を超えるリスクなんて背負わない方が良いのだろうが、旅であれば「もう限界だから自転車ごとヒッチハイク!!」とか「食べ物が尽きて餓死しそうだから畑から拝借してなんとか生き延びた!!」みたいなことが起こり得そうだが、僕らにはほとんど起こらない。

まぁ、これも性格だから仕方がないだろう。マッチョな旅、ハードボイルドな旅はその手の人々にお任せして、僕らは自分らなりの旅を楽しんで無事日本に帰ることを心がけよう。

今回のキャンプ場は値段も20.5Eと良心的。
スクールホリデーなのか子供らが多いのがちょっと・・・
イタリアに入って以来子供たちの様子が、ドイツやスイスの子供たちと大幅に変わってきた気がする。人のことをからかって喜ぶところはアフリカ寄りになってきた。
しかもアフリカの場合は心で思ったことが脳というフォルターで濾されることなく口から吐き出されることが多い感じだったのだが、こちらはいけないことだと分かっているが友達の前で調子に乗ったところを見せたいという(まぁよく考えてみれば日本のある種の若者たちもそうなのだけど)知性のある陰湿さなのでよりたちが悪い。

ドイツやスイス(特にスイス)では心穏やかに過ごすことができたのはやはり教育なのだろうか。
マナーやあいさつは小学生の頃「あいさつ運動」みたいな取り組みが行われて、「しょーもない・・・」なんて思ったのだが、必要なことなんだな、とジジイになってきた今ようやく気がつく。
昨夜の野宿で濡れたままのテントを干し、シャワーへ。2日ぶりの温かいお湯は最高。

洗濯後、コーヒーを飲みながらくつろいでいると雲の中から岩山が現れてきた。やはりかっこいい。
パソコンの充電がいよいよ切れそうなのでトイレで日記を書く。

本日はピザを食べることに。
晩御飯までは自転車のメンテナンスをして過ごす。本日はチェーンの掃除以外に、最近気になっていた「前のギアが高速にならない」という問題を解決するべくあれこれいじると無事スムーズにギア変換できるようになった。

メンテナンスをしたらお腹が空いたのでおやつがわりにインスタントラーメンを食べる。寒い中、山を見ながら食べるラーメンの旨さは格別である。

しばし休憩した後パンを購入し、19時より晩御飯を食べにキャンプ場併設のレストランに出かける。
イタリアでは是非食べようと思っていたピザ、そしてマキアートとカプチーノ、さらにデザートにティラミスを注文。

まぁイタリアが有名なピザだが、実際日本のピザも美味しいので大して期待せずに、トマト&プロシュートのピザ(9.5E)を注文したのだが・・・

これが・・・・実に美味い!!

イタリアのピザを舐めていました、完全に日本とは別物。石窯で焼いているからか、それとも素材が違うのか生地はサックリ。
そして非常にシンプルに、プロシュート、トマトソース、モッツァレラチーズに塩で味付けなのだが、それぞれがしっかり個性を出しつつ、それでいて他を尊重して出過ぎない。
これぞイタリアンという味であった。

日本で自分が作る際にはトマトソースやチーズをたっぷり載せて贅沢な感じを演出しすぎるのだが、こちらはトマトソースもチーズも薄く塗っているだけ。それなのに素材が良いのか味は非常にはっきりとしている。薄くスライスした特大プロシュートだけが目に見える素材なのだ。
バルサミコ酢、緑の味がするオリーブオイル、チリオイルもいい味していた。

うむ、こういう料理も作れるように日本でも良い素材が安価で手に入る店をみつけよう。

コーヒーはそれぞれまぁ標準の味。

しかしティラミスもクリームが口の中ですっと消えるような食感で甘さも控えめでスッキリした味わい。お酒の分量も日本より少ないのか、お酒の香りが立っていないな、とも感じたが、よく考えると、そこまでゴテゴテした味にならないためにはこれはこれで良いのかも。と思う上品な味わいであった。
イタリアンは美味い。
久々にお金を払って食べる甲斐のある外食をすることができた。(というか、自転車旅を初めて自費での外食は初めてだった)
良い素材と適切な味付け、それをできるだけシンプルに。そこにイタリアンの真髄を見た。

食後、キャンプ場の共有スペースを見つけたのでのんびりテレビや本を読みながらパソコンを充電する。

 

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